2018年1月10日水曜日

ロシア鉄道(RZD)の寝台車でパリ(東駅)- ベルリン(中央駅)を楽しむ

2016年11月、パリでの用事を済ませた後、念願のパリ-ベルリン-モスクワ間を走るロシア鉄道寝台列車を利用し、パリ東駅からベルリン中央駅へと帰って来ました。私にとっては、パリでの用事よりもこちらの列車の体験の方が重要だったのですが、女房には内緒です(ばれていると思いますが)。
この列車、CNLのパリとベルリンを結ぶ夜行列車が廃止された後、それまでサービスされていなかったフランスとドイツの間の区間乗車が可能になり、ベルリンまでしか乗らない私も利用できました。
思い出の整理のために写真の解説を中心にここに紹介します。

パリ東駅にて出発を待つモスクワ行き列車。隣にはフランスのTGVとドイツのICEが止まっていますが、風格が違いますね。

ロシア鉄道の車両と塗装が違うこちらは、ポーランド鉄道の食堂車。なぜ食堂車だけ?

自分の乗る車両を探して乗車しました。車両は新しく清掃が行き届いていて通路も清潔です。

コンパートメントに入ると座板が跳ね上がっていました。荷物を椅子の下に置きやすいようにという配慮でしょうか。西欧で一般的なT3寝台車ではなく、シベリア鉄道などロシア鉄道で一般的な4人個室(クペー)でした。

寝台上段は寝具がセットされていました。私の席は下段です。


こちらの極端に窓が少ない車両は、特等車両です。車内に置かれていたパンフレットによると1両に二人部屋4室設けられていて、各部屋専用のトイレ、シャワールームがあります。その他に特等専用のラウンジもあります。どんな人が利用するんでしょうね。ロシアの大富豪や外交官、スパイ?でしょうか。

私の二等コンパートメントは、特等車両とは比較できませんが、とても居住性の高い作りです。寝台としてだけでなく座席としても快適です。夜だけでなく昼もここで過ごしたい。
これ、ベルリンの交通メッセInnotransで展示されていた車両で憧れていたのですが、乗車するならロシアまで乗らなければならないので乗さする機会が来るとは思っていませんでした。

コンパートメント奥から通路側を見る。

車内販売カタログ1。ロシア鉄道グッズですね。乗車の記念にはなるけど・・。

車内販売カタログ2。飲み物、スナック類。私はシベリア鉄道に乗った時の経験から、車内で飲むもの、食べるものはあらかじめ買い込んで持ち込みました。そんなに長い旅ではないけど。

車内販売カタログ3。子供用?のお土産も充実。鉄道車両は、私も欲しいぞ。

キーはカード式、しかも非接触タイプです!

著者、記念撮影! この通り、私なら座席に座っても頭は上段のベッドに届きません。

通路側のドアを閉めました。ベッドの作りは、西欧の簡易寝台を4人で使った時に似ていますが、さすがは本格寝台。通路側には窓はなく大きな鏡になっています。

窓側のテーブルをあげると洗面台になっています。やはり寝台車の設備!

上段へ登るためにハシゴは、壁に収納できるようになっています。

鏡の上には温度調節、照明のスイッチがあります。車掌(列車給仕)が使い方を教えてくれました。ロシア語しかできないようで、ジェスチャーで教えてくれましたが、温度調節の説明で寒い時にはこれを捻ってという動作を、寒さで震える様子を表現してくれました。さすがは国際線の乗務員です。外国語できなくてもコミュニケーション能力はバッチリです。

11月のことでパリを出発するともう外は闇です。コンパートメントの様子を鉛筆で描写してみました。さて車内探検に出ましょうか。

隣の車両へ渡る幌内のドア。車両はジーメンス(シーメンス)製ですが、造りはロシアぽいですね。この頑丈な扉。夜間は施錠されて隣の車両との行き来はできません。セキュリティーのため? 秘密主義?

乗車前に食事は済ませたのですが、食堂車をのぞいたのでちょっとスープでも。しかし料理はどれも高くてびっくりです。

列車全体の乗客も少ないようだったのですが、食堂車もガラガラでした。右に見えるご夫婦は、しっかりとディナーをとっていました。それにしても食堂車、車内が寒い。

部屋に戻り、背もたれを前に倒すと寝具が出てきました。30年近く前にシベリア鉄道に乗った時と同じクラスのはずですが、装備は雲泥の差です。

トイレに来ました。トイレにはシャワーも付いています。やはり寝台車ですね。

シャワー室の床、まだ濡れていないところを見ると誰も使っていないようです。

コンパートメントを上から撮影。

フランス最後の停車駅は、シュトラスブール。夜も更けていますがせっかくなので外へ出てみましょう。

ドイツの機関車の連結作業中でした。
シュトラスブール出発後は、照明を消して床につきました。
夜中に目が覚めてブラインドを開けてみるとどこなのか知らない街を通り過ぎるところでした。オレンジ色の街路灯や冷たい色の鉄道施設の蛍光灯が車窓を流れていきます。気分は銀河鉄道。

朝、6時前に車掌がドアをノックして起こしてくれました。何か飲むかと言っているようなのでコーヒーを頼みました。このコーヒー、粉だらけです。トルコ式のコーヒーだったのでしょう。粉が沈むのを待って飲むもののようです。

ベルリン中央駅のホームです。まだ夜が明けきっていません。かなり遅れることを「期待」していたのですが、ほぼ定刻の到着だったようです。私が降りるのと交代で、ベルリンから乗り込んでくる乗客もいました。列車はもう一昼夜を走り続けてモスクワに到着します。

ホームの端まで来るとシュトラスブールで見たのとは違う機関車が
列車を牽いていました。

最後まで私の思い出の旅にお付き合いくださいましてありがとうございました。この列車、乗車当時は週に何本が運転されていたと思いますが、今では週に1本の運転になってしまいました。ロシア鉄道はまだヨーロッパ各地に寝台列車を運行していますが、やはり本数は減りつつあります。時代の趨勢には逆らえないのでしょうか。

ベルリンからモスクワまでは、通常客車によるパリからの列車の他にタルゴ車両によって運行される列車もあります。

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