2018年1月13日土曜日

CNL個室寝台(ケルン - ベルリン)の思い出

2016年6月、ボンで私の得意先の創立記念パーティーがあり、折角の機会なのでCNLの夜行列車ベルリンまで戻ってきました。ボンは小さいながらも魅力的な街で一泊して観光したい気分もあったのですが、それ以上に全廃が発表されていたCNLの夜行列車を利用することにしました。

自分の思い出の整理のために写真の解説を中心にCNLの個室寝台を紹介します。奮発して3人部屋(T3)シングルとして利用しました。かつては一等車としての利用方法でしたが、この時は二等+一人個室利用料エコノミーシングル:シャワールーム/トイレ無しの個室寝台のシングルユース)が適用されていました。


ケルン駅に入線したCNLの夜行列車。私の乗る寝台はチェコの車両のようです。その後ろにはオーストリア連邦鉄道ÖBBの車両が連結されていましたが、この列車、オーストリアは通らないはず。なぜÖBBがここに?

もう22時を回っていて、部屋に入ると既に寝台がセットされていました。ベッドと同じ幅の床、さらに洗面台とクローゼットという贅沢なスペースです。

洗面台には三人分のタオル、コップ等が用意されていました。

お湯も出ます。エコノミーシングルなのでシャワー/トイレはありませんが、共用のトイレがデッキにあります。

寝台の枕側。頭を通路に向けます。


いよいよケルン中央駅を出発。外にはケルン大聖堂が見えました。心踊る夜行列車の旅、眠れるか心配です。

親切な車掌(列車給仕)さん。軽食や飲み物も販売しています。食堂車が連結されていませんので唯一のサービスポイントです。寝台車の乗客だけでなく、簡易寝台、座席車の乗客も利用できます。

低速でライン川を渡河します。

念願の個室寝台を一人で独占する著者。フラッシュを焚くのを忘れました。

夜に何度か目を覚ましましたが、昼間の疲れもあってぐっすり眠りました。ケルンであったサッカーの試合を観戦した乗客が途中の駅で降りるのを見ました。座席車の乗客だったのでしょう。目がさめるともうベルリン・ヴァンゼー駅の留置線でした。窓の外は夏草で覆われていました。

車内は新鮮な朝の空気、光で満ちています。この車両もまだ新しいのにCNL、本当に廃止ですか?

寝台車の乗客には、朝食がサービスされます。簡単なものですが降車前にリフレッシュできます。

寝台を収納して昼座席にしてみました。私はベルリン・ズュードクロイツで降りますが、このままプラハまで行きたいなぁ。

ドアには海底トンネル通過時の非常時の行動が説明されていました。そうです、既に廃止されましたが、この列車はコペンハーゲンまで行くことのあった車両です。2016年末でドイツ国内が廃止なるCNLですが、オランダ、デンマーク等周辺諸国では既に廃止なっていました。


最後までお読みくださいましてありがとうございます。今はなきCNLの旅、いかがでしたか。現在はオーストリア連邦鉄道ÖBBがCNLの一部の路線を引き継いで、のブランド名で運行しています。ケルンとベルリンを結ぶこの路線は寝台/簡易寝台車を連結した列車としては廃止され、夜行ICとして座席車だけで運行されています。寝台列車としての復活を望んでいます。


2018年1月10日水曜日

ロシア鉄道(RZD)の寝台車でパリ(東駅)- ベルリン(中央駅)を楽しむ

2016年11月、パリでの用事を済ませた後、念願のパリ-ベルリン-モスクワ間を走るロシア鉄道寝台列車を利用し、パリ東駅からベルリン中央駅へと帰って来ました。私にとっては、パリでの用事よりもこちらの列車の体験の方が重要だったのですが、女房には内緒です(ばれていると思いますが)。
この列車、CNLのパリとベルリンを結ぶ夜行列車が廃止された後、それまでサービスされていなかったフランスとドイツの間の区間乗車が可能になり、ベルリンまでしか乗らない私も利用できました。
思い出の整理のために写真の解説を中心にここに紹介します。

パリ東駅にて出発を待つモスクワ行き列車。隣にはフランスのTGVとドイツのICEが止まっていますが、風格が違いますね。

ロシア鉄道の車両と塗装が違うこちらは、ポーランド鉄道の食堂車。なぜ食堂車だけ?

自分の乗る車両を探して乗車しました。車両は新しく清掃が行き届いていて通路も清潔です。

コンパートメントに入ると座板が跳ね上がっていました。荷物を椅子の下に置きやすいようにという配慮でしょうか。西欧で一般的なT3寝台車ではなく、シベリア鉄道などロシア鉄道で一般的な4人個室(クペー)でした。

寝台上段は寝具がセットされていました。私の席は下段です。


こちらの極端に窓が少ない車両は、特等車両です。車内に置かれていたパンフレットによると1両に二人部屋4室設けられていて、各部屋専用のトイレ、シャワールームがあります。その他に特等専用のラウンジもあります。どんな人が利用するんでしょうね。ロシアの大富豪や外交官、スパイ?でしょうか。

私の二等コンパートメントは、特等車両とは比較できませんが、とても居住性の高い作りです。寝台としてだけでなく座席としても快適です。夜だけでなく昼もここで過ごしたい。
これ、ベルリンの交通メッセInnotransで展示されていた車両で憧れていたのですが、乗車するならロシアまで乗らなければならないので乗さする機会が来るとは思っていませんでした。

コンパートメント奥から通路側を見る。

車内販売カタログ1。ロシア鉄道グッズですね。乗車の記念にはなるけど・・。

車内販売カタログ2。飲み物、スナック類。私はシベリア鉄道に乗った時の経験から、車内で飲むもの、食べるものはあらかじめ買い込んで持ち込みました。そんなに長い旅ではないけど。

車内販売カタログ3。子供用?のお土産も充実。鉄道車両は、私も欲しいぞ。

キーはカード式、しかも非接触タイプです!

著者、記念撮影! この通り、私なら座席に座っても頭は上段のベッドに届きません。

通路側のドアを閉めました。ベッドの作りは、西欧の簡易寝台を4人で使った時に似ていますが、さすがは本格寝台。通路側には窓はなく大きな鏡になっています。

窓側のテーブルをあげると洗面台になっています。やはり寝台車の設備!

上段へ登るためにハシゴは、壁に収納できるようになっています。

鏡の上には温度調節、照明のスイッチがあります。車掌(列車給仕)が使い方を教えてくれました。ロシア語しかできないようで、ジェスチャーで教えてくれましたが、温度調節の説明で寒い時にはこれを捻ってという動作を、寒さで震える様子を表現してくれました。さすがは国際線の乗務員です。外国語できなくてもコミュニケーション能力はバッチリです。

11月のことでパリを出発するともう外は闇です。コンパートメントの様子を鉛筆で描写してみました。さて車内探検に出ましょうか。

隣の車両へ渡る幌内のドア。車両はジーメンス(シーメンス)製ですが、造りはロシアぽいですね。この頑丈な扉。夜間は施錠されて隣の車両との行き来はできません。セキュリティーのため? 秘密主義?

乗車前に食事は済ませたのですが、食堂車をのぞいたのでちょっとスープでも。しかし料理はどれも高くてびっくりです。

列車全体の乗客も少ないようだったのですが、食堂車もガラガラでした。右に見えるご夫婦は、しっかりとディナーをとっていました。それにしても食堂車、車内が寒い。

部屋に戻り、背もたれを前に倒すと寝具が出てきました。30年近く前にシベリア鉄道に乗った時と同じクラスのはずですが、装備は雲泥の差です。

トイレに来ました。トイレにはシャワーも付いています。やはり寝台車ですね。

シャワー室の床、まだ濡れていないところを見ると誰も使っていないようです。

コンパートメントを上から撮影。

フランス最後の停車駅は、シュトラスブール。夜も更けていますがせっかくなので外へ出てみましょう。

ドイツの機関車の連結作業中でした。
シュトラスブール出発後は、照明を消して床につきました。
夜中に目が覚めてブラインドを開けてみるとどこなのか知らない街を通り過ぎるところでした。オレンジ色の街路灯や冷たい色の鉄道施設の蛍光灯が車窓を流れていきます。気分は銀河鉄道。

朝、6時前に車掌がドアをノックして起こしてくれました。何か飲むかと言っているようなのでコーヒーを頼みました。このコーヒー、粉だらけです。トルコ式のコーヒーだったのでしょう。粉が沈むのを待って飲むもののようです。

ベルリン中央駅のホームです。まだ夜が明けきっていません。かなり遅れることを「期待」していたのですが、ほぼ定刻の到着だったようです。私が降りるのと交代で、ベルリンから乗り込んでくる乗客もいました。列車はもう一昼夜を走り続けてモスクワに到着します。

ホームの端まで来るとシュトラスブールで見たのとは違う機関車が
列車を牽いていました。

最後まで私の思い出の旅にお付き合いくださいましてありがとうございました。この列車、乗車当時は週に何本が運転されていたと思いますが、今では週に1本の運転になってしまいました。ロシア鉄道はまだヨーロッパ各地に寝台列車を運行していますが、やはり本数は減りつつあります。時代の趨勢には逆らえないのでしょうか。

ベルリンからモスクワまでは、通常客車によるパリからの列車の他にタルゴ車両によって運行される列車もあります。

2018年1月2日火曜日

ベルリンSバーン・シリーズ480(Baureihe 480)

 ブログ「ドイツ阿房列車」の最初の投稿は、ベルリンSバーンのシリーズ480、ドイツ語でBaureihe 480です。Baureiheというドイツ語は、語学学習用の辞書には載っていないかもしれませんが、「シリーズ」とか「モデル」という意味です。ですから480系なんて言ってもいいのかもしれませんが、日本の鉄道車両の型式の表現にこだわる必要はないと判断して「シリーズ480」としておきます。これについてはご意見をお待ちしております。

 このシリーズ480ですが、ベルリンのSバーン車両の中では数が少ないと経験的にわかっています。あまりお目にかかりません。でも私の好きな車両の一つです。Sバーンに乗るときにこれが来ると嬉しくなります。窓がとても大きく、そのために車内が明るく、椅子の硬さが私の好みに合い、ボックスシートのピッチも申し分ありません。ちょっと角ばったデザイン、特に全面の直線的な顔がドイツ人の角ばった顔を思わせます。

 今では、もう製造されていませんが、ドイツのことですのでまだまだ現役で活躍してくれることでしょう。

 動画は、環状線のMesse Nord ICCに入線する様子です。私はこの駅の近くに住んでいますが、環状線のおかげで東ベルリン地区との行き来が格段に楽になりました。また滞在許可の申請、更新のために外国人局に出向くのに使った路線でもあり、車窓から外国人局の建物が見えてくると当時の緊張がよみがえります。シリーズ480は、そんな行き来を快適な設備で励まし、癒してくれた車両だったかもしれません。


 コメントをお待ちしております。シェアも大歓迎です。